もう35年も前にデジタルデータを記録する媒体としてオーディオのカセットテープを改良したデジタルカセットテープがありました。250KB程度の記憶容量でしたが、当時とすれば(フロッピーはまだない)かなりの記憶容量とスピードでした。
マイクロコンピュータが始まったころにオーディオカセットにデジタル信号を記録する「カンサスシティスタンダード」というのがありましたが、これはデジタル信号をオーディオ信号の1200Hzと2400HzのFSK (en:Frequency-shift keying) 変調 を使い、300bpsのデータ記録速度でオーディオカセットに入出力するというものです。
デジタルカセットはオーディオカセットをデジタル信号の記録再生に使うためにいくつかの点が改良されていました。
1.トルクを軽くする。
オーディオテープはヘッドとの密着性や走行性のためある程度のバックテンションがあったほうが安定しますが、走行停止を頻繁に繰り返すデジタルユースではなるべくトルクは軽いほうがいい。
2.バッドを大きくする
ヘッドとの密着性のためパッドが設けられていましたが、オーディオはシングルギャップですが、デジタルユースではREAD AFTER WRITEと書き込み後すぐに読み取って正しく書けたかを確認するため、ギャップが2つあるデュアルギャップでした。そのためパッド面積を大きくしてありました。
3.シールド板の材質をアルミにした
外部ノイズが入らないようにオーディオカセットではヘッドの前にパーマロイのシールド板があります。デジタルユースではREAD AFTER WRITEのとき、透磁率の大きいものがあると書き込みヘッドからの漏れ磁束が読み取りヘッドに入ってしまう(フィードスルー)ので、非磁性のアルミとしていた。
4.BOT,EOTの穴をテープに穿けてある
光学的にテープの始め(BiginOfTape)と終わり(EndOfTape)を検出できるように小さな穴を穿けてあった。
5.A,B面検出の穴がある
両面つかうことができたので、どちら面なのかを検出できる穴をカセットに設けていた。
6.リーダー、トレーラテープが長い
テープ保護のためのリーダー、トレーラテープを長くして、保護を充分できるようにしていた。
7.ライトプロテクトが取り外し可能
オーディオテープは爪を折るタイプの誤消去防止ですが、何度も使うので取り外してライトプロテクト、取り付けて書き込み可のプラグにした。
などの特徴がありました。
今は全くみることはなくなりましたが、あるところでそれを使った機器が展示してあったので、懐かしくなり書いてみることにしました。
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